自律神経は、次の「交感神経」と「副交感神経」の二つに分類することができます。
目覚めているとき、活発に活動しているときに働く神経
睡眠中やリラックスしているときに働く神経
交感神経は「活動神経」、副交感神経は「リラックス神経」 とも言われています。
これらの自律神経の働きは、正常な日常生活を過ごしていくうえでとても大切な働きを担っています。
もし、交感神経(活動神経)の働きが弱ければ、お昼の目覚めている時に活発に活動することができず、副交感神経(リラックス神経)の働きが弱ければ夜になっても眠れなくなり、疲労が日々蓄積され、やがては身体を壊してしまうことになります。
このように、交感神経と副交感神経が正常に働かない身体の状態を 自律神経失調症と言います。
ところで、交感神経と副交感神経の乱れ、いわゆる自律神経の乱れはなぜ起きるのでしょうか。
自律神経失調症の主な原因を分類すると次のようになります。
自律神経失調症の原因として最もよく知られているのがストレスです。
交感神経は活動神経であり、副交感神経はリラックス神経であることを説明しましたが、この二つの自律神経がバランスを保つことで、健康を維持できるようになります。
強いストレスを感じている時は、交感神経(活動神経)が活発な状態で副交感神経(リラックス神経)が弱くなってる状態です。
夜になっても仕事のストレスを持ち込む方は増えています。本来、夜になれば自然に副交感神経(リラックス神経)が働き眠くなっていくのですが、 過剰なストレスが生じていることで、寝る時間になっても交感神経(活動神経)が活発に働いている状態になります。
稀にストレスを寝る時間に持ち込むくらいであれば問題はないのですが、毎日のようにストレスを持ち込んでいる場合には症状が慢性化し、自律神経のバランスが崩れるようになります。
その他、自律神経失調症の原因に不規則な生活もあげられますが、中には夜勤と昼勤を交互に繰り返している方もいます。
しかし、その方々のすべてがストレスを感じるわけではなく、自律神経失調症を患うというわけではありません。
自律神経失調症の原因は、生活要因よりも「性格的な要因」が大きいと言われています。
ストレスに強いタイプか弱いタイプかを4つに分けてみました。
あれ?ひょっとして私かも?と思い当たることもあるかもしれませんので参考にしてみて下さい。
自律神経は、中枢神経と末梢神経で構成されています。
中枢神経は脳の働きと深い関係があり、精神の安定を保つ役割を担っています。これに対し、末梢神経は全身の細部まで巡っています。
つまり自律神経が乱れると、精神的な異常と身体的な異常を生じるようになります。
さらに末梢神経は、体の隅々まで巡っているため、体の至るところで異常を生じる可能性があります。
このように、自律神経失調症を患うと脳の働きと関係の深い中枢神経の異常により、倦怠感、だるさ、イライラなどの精神的な異常を生じるようになります。
そして末梢神経の異常により、頭痛やめまい、腹痛、吐き気、手足のしびれ、指先の冷え性などの身体的な不調を生じるようになります。
自律神経失調症の代表的な症例をまとめると次のようになります。
頭痛、不眠、めまい、心身症、不安障害、気分障害
抑うつ神経症、冷え症、食欲不振、手足のしびれ、
腰痛、体の凝り
自律神経失調症は、これらの症例が一つだけ生じることもあれば、 複数の症状を同時に生じることも多く見受けられます。
また、自律神経失調症の症状の多くは、
という「なんとなく」という形容詞で語られる症状です。
もう少し具体的に述べると、
というように、一体身体のどこが悪いのか、病気の原因を特定できないケースが多いのです。
このような症状は不定愁訴(ふていしゅうそ)と言われ、自律神経失調症の代表的な特徴と言えます。
西洋医学において、自律神経失調症に使われる主な薬には、 以下のものがあります。
自律神経に直接働きかけて、自律神経そのものの安定をはかる薬
精神的な不安を抑制する薬剤
更年期の世代やホルモンバランスが崩れているときに用いられます。
不眠症の症状がひどい場合に用いられます。
自律神経や精神の安定化に効果の高いビタミン類が含まれています。
基本的に他の薬と併用して用いられます。
辛い自律神経失調症の症状に薬は必要かもしれません。
しかし、症状が重いほど薬の種類が多く使われるようになります。
クスリは逆から読むとリスクになるので、薬による副作用が出る確率は高くなります。
更年期障害や心身症、うつ病、鉄欠乏症や低血糖症などの症状と 大変似通っているため、誤診して薬を使われることがあり、 発見が遅れがちになるという問題を抱えています。
自律神経失調症の代表的な治療には次のものがあります。
自律神経調整剤や精神安定剤などを用いた薬物療法
精神的な悩みが原因で発病している場合に、先生と対面して悩みを解決する方法。
別名、自己催眠法とも言われています。マイナスよりもプラスのことを考えることで、自信を持ち、リラックス効果を高めることを狙いとします。
鍼とお灸を用いた治療で鍼灸院により治療法が異なります。
薬物療法のような副作用の心配がはるかに少なく、血流循環の改善、気の巡りの改善を行いカラダのバランスを整えるので自律神経のバランスも改善され、ストレスからも開放されます。
最近、注目されてきてますのでおすすめします。
自律神経失調症の予防に運動を勧める先生も多いですが、
当院では、運動の中でも「有酸素運動」をお勧めしています。
有酸素運動とは、腹式呼吸を使う運動法を言い、リラックス効果を高め、 副交感神経の働きを強める効果があります。
代表的な有酸素運動に次のものがあります。
基本的にどれを選ぶかについては、楽しんでゆったりできる有酸素運動が良いです。無理に行うとかえって逆効果になりますので、自分に合った方法を選ぶことをお勧めします。
早朝の太陽の光を浴びるととても気持ちがいいですね。
これは決して気分的な感覚ではありません。 実は朝の太陽の光の強さには、自律神経を活性化させる 働きがあることが近年の研究でわかってきました。
精神疾患の最先端の治療法に「高照度光療法」がありますが、 この治療で用いられる光の強さと朝の太陽の光は、実はほぼ同じ照度(強さ)なのです。
毎日早起きをして朝の太陽を浴びると、毎日高照度光療法を行っていることと同じ効果があります。
さらに、朝の太陽の光を浴びながら、有酸素運動を同時に取り入れることで効果はさらに増していくものと思われます。
現代人は、昔の世代の人と比べて、精神的に傷つきやすくなったと言われます。
もちろん、時代的な背景もありますが、昔の食生活を 調べてみると、ストレス耐性のある食品が主食になっていました。
現代の日本では、昔と比べ食料は溢れていますが、スナック菓子や 清涼飲料水、ダイエット食などの過剰摂取により、栄養バランスが極端に崩れています。
以前は栄養失調という言葉が知られていましたが、現在は栄養の偏りによる「栄養障害」が問題になっているのです。
栄養療法とは、偏った食生活を避けると共に、ストレス耐性のある 栄養素を摂取することでストレスに強い身体をつくることを目的とします。
栄養療法を取り入れるだけで症状が劇的に回復したという事例もあります。
西洋医学は、臓器や器官などの局部の治療やメスを入れる手術には大変有効ですが、「生活習慣病」や「精神的な病」、「検査で異常なしと言われるが本人は不快感を訴える病(不定愁訴)」の治療を苦手としています。
東洋医学では病気の原因を、体を構成する3要素である「気」「血」「水」のバランスの乱れと定義しています。
このバランスの乱れを根本的に治療することが鍼灸治療の目的であり、西洋医学よりも遥かに長い歴史と研究が今日まで続けられています。
自律神経失調症は「鍼灸適応症」の一つとして世界保健機関(WHO)から公式に鍼灸の効果が認められています。
当院では不快感のあるところだけの治療はいたしません。
なぜならばその部位だけ鍼灸をしても改善されないことがわかってるからです。
気や血流の滞ってる部位を良くするには全身療法が必要になります。
気は身体を1週するのに約30分かかります。血液も同様です。
その方の症状に合ったツボを選び、鍼をすることで瞬間的に筋肉、関節が緩くなります。
緩むということは巡りやすくなる状態を作れたと言うことになりますのでこの状態で少し休んで頂きます。使用する鍼の本数も少なく刺す深さは1㎜~2mmと浅いので痛みはあまり感じません。
初めての方が多いのですが、治療中寝てしまう方が多いのも当院の特徴です。
寝れると言うことは自律神経が整ってきてる証拠です。
来院された時と帰る時では別人の身体になってますので、どんよりしてた方も明るく帰って行きます。
このように治療を繰り返しながら行うと体質改善されていくことがわかります。
体質が変われば、行動も変わり、行動が変われば、性格もプラス思考になり人生への考え方も変わります。
体質改善って本当にすばらしいことだと毎日感じていますので、長年、自律神経失調症に悩まれている方がいましたら、鍼灸を試されることをお勧めします。