心身症とは良く耳にする病名ですが、具体的にその症状を説明できる方は少ないのではないかと思います。
又、心身症と自律神経失調症には、どのような違いがあるかをはっきり答えられる方も、専門医か個人的に調べた方でないと難しいのかもしれません。
交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで生じる 身体の様々な不調を総称して自律神経失調症と呼んでいます。
これに対し心身症とは、心因的、精神的な悩みが原因となり、身体に様々な不調を生じる症状を言います。
このように、身体の症状に表れる結果は同じであっても、その症状が現れる原因には明らかな違いがあります。
これが心身症と自律神経失調症の大きな違いです。
「心が起因となって身体の不調が現れる症状」を心身症と呼びます。
ただこの説明だけだと、少しわかりづらいかもしれません。
ここでは、もう少し具体的な例をあげて説明してみたいと思います。
例えば、よく知られている症例として胃潰瘍があります。
胃潰瘍は、ストレスが原因で発症するということは多くの方に知られていますが、この症状も心身症の代表的な症状の一つです。
又、イライラする方は、高血圧になりやすいとも言われますが、イライラが原因で高血圧になったケースでも心身症に当てはまります。
これらの事例のように、精神的な過労や悩み、ストレスなどが原因となって、身体に様々な異常を生じた場合には、心身症の症状と言えるのです。
その他、心身症と言える代表的な症状として、次の症例があります。
ご自分が心身症かどうかを具体的に調べるとしたら
どのようにしたらよいのでしょうか?
もちろん、専門医による診断が最も望ましいですが、
事前に自分でチェックしたいという要望も多いです。
例えば、ストレスで慢性的な下痢の症状で悩んでいる方がいても、
実際に原因を調べてみると、アルコールの飲みすぎや
暴飲暴食が過度であったりすることもあります。
ストレス解消のため、お酒を飲んだり、普段より食べる量を増やす
ことで下痢になり心身症を患うこともありますが、お酒の量や食べる量が極端に
多い場合には、ストレスよりも「飲みすぎ・食べ過ぎ」の要因が
大きくなります。
このケースは心身症には該当しない可能性があります。
また、極度のダイエットによるストレスで体調を壊す方もいますが、
これも心身症というより「乱れた食生活」に一番の原因があります。
このようにストレスからくる体調不良でも、心身症に該当しないケースが
あります。
ここで、心身症であるかどうかをチェックするポイントを以下に
まとめてみました。
心身症は心の病気が原因となって体に不調が現れます。
心が元気の日は症状が緩和するが、気分が優れない日になると
それに伴って身体の調子もぐんと悪くなります。
このように心の状態によって体の状態にも波が生じるようになります。
体の調子がよくなり「治った」と思っても、翌日、再発することが
あります。心身症の原因は心にあります。体を治しても心の負担が
解決していないと再発する可能性は高いです。
一例を上げるとストレスからくる胃腸炎があります。
胃腸炎は治療を行えば体がよくなりますが、少し経つと再発します。
それはいくら体を治しても原因のストレスを解決しない限りは、
再発する可能性が残ったままということになります。
離婚、失業、倒産、転勤、友人や身近な人の死など、
本人に知らずのうちに大きなストレスがかかっていることがあります。
ここでは、ごく一例を紹介しました。
実際には、現れている症状から心身症であるかどうかを確実に判定するのは
難しいかもしれません。
そのため、心身症かどうかを調べるために初めて受診される場合には、
最初に一般内科を受診して体に異常が生じているかを検査するのが一般的です。
もし、一般検査で体に異常がなければ、「心の病」がメインであることを
識別できることになります。
原因が具体化することでそれに適した治療を行うことができ、
早期解決の近道になります。
ところで、自律神経失調症の症状の一つに心身症が
含まれるということを耳にした方もいるかと思います。
当然、心身症と自律神経失調症は、
発症の原因が全く異なり、別々の病気です。
これを、少し事例を挙げて説明すると次のようになります。
始めに自律神経失調症状を発症し、その後、その症状が悪化し、
精神的にも苦痛になり、心身症を併発するケースがあるということです。
自律神経失調症になると、例えば、不眠症などの症状が現れます。
不眠症になると、前日の疲れが翌日にも残り、ストレスが日々、積み重なっていきます。
その結果、精神的な苦痛となり、心身症を引き起こすことになります。
正式には、心身症は自律神経失調症の症状の一つというよりも、
自律神経失調症が悪化して心身症を併発したという方が正しいかと思います。