ストレスチェックは基本的に年に1回以上実施するルールになっております。
実施から事後処理までの流れは次のようになっています。
実施手順その1:導入前の準備(衛生委員会の設置と社内規定の明文化)
■会社としてストレスチェックを実施する方針を社員に伝えます。
■衛生委員会を設置し、ストレスチェックの実施方法を討議します。
■実施体制・役割担当を決定します
■決定したことを社内規定として明文化し、社員にその内容を知らせます。
実施手順その2:ストレスチェックの実施
■質問票を労働者に配布し、記入します。
■質問票は、厚労省が推奨するストレスチェックシートが一般的です。
■ITシステムを使用することもできます。
■ストレスチェックシート以外の調査票の使用については、厚生労働省の
定める規定をクリアしている必要があります。
実施手順その3:質問票(ストレスチェックシート)の回収
■記入が終わった質問票を医師又は実施事務従事者が回収します。
■第3者や人事担当の閲覧は厳禁
実施手順その4:医師による評価
■質問票をもとに、労働者のストレスの状態を調査します。
■一定の基準を超えた労働者を高ストレス者として選びます。
実施手順その5:医師から労働者への直接通知
■ストレスチェックの結果を医師から労働者に直接、通知します。
■通知に際しては、個人情報を厳守するため、封書や電子メールにより
通知を行い、第3者に情報が漏れないようにします。
■ウェブシステムを利用の場合は、労働者本人が直接
結果を確認できるため、通知は不要です。
実施手順その6:調査結果の保管
■結果は医師などの従事者が保存します。
■企業内に保管する場合は、鍵のかかったキャビネット、パソコン
の場合はパスワード管理を行い、第3者が閲覧できないようにします。
実施手順その7:面接指導の実施と労働環境の改善
■医師より高ストレス者と判断された労働者から申出があった場合、
医師との面談指導を実施します。
■医師による高ストレス者との面談結果を踏まえ、高ストレス者に対する
労働時間の削減や配置転換などの適切な処置を実施します。
実施手順その8:面接指導の結果の保存
■面談指導の結果は、5年間保管します。
※実施手順その8-2:職場分析と職場の改善(努力義務)
■ストレスチェックの結果を一定規模の集団ごとに集計・分析します。
■集計・分析結果を踏まえて、職場の改善を実施します。
■職場分析は努力義務のため、実施義務はありません。
実施手順その9:労働基準監督署への提出
■ストレスチェック及び面談指導の実施状況を所定の様式で
労働基準監督署に提出します。
ストレスチェック制度の実施には、人・費用・時間が使われ、
事業者の中には面倒な作業と思われる人もいるかもしれません。
しかし、ストレスチェック制度の導入で、労働者が自分自身で
セルフチェックできる機会が与えられることになります。
労働者自身のセルフケア意識が高まり、さらに専門医(産業医)
による適切な面談を行うことで、労働者のメンタル不調を事前に防止
できるというメリットがあります。
そして、近年ニュースで見るような社会事件を事前に防止できるだけ
でなく、大事な時に労働者が不調で仕事ができなくなるということも
防止できるようになります。
労働者の自分で健康を守ろうとするセルフ意識の向上と生産性の低下を
未然に防止できるというメリットがあります。
つまり、導入や実施に時間やコストがとられるデメリットよりも
メリットが大きくなるということになります。