首凝りの原因は様々ありますが、基本的には血行不良が原因となっておきます。首周辺部に血行不良が起きると、血液中に含まれる酸素や栄養素が十分に行き渡らなくなります。さらに、疲労物質が排出されずに残るようになります。
その結果、首回りの筋肉や関節の収縮機能が低下し、筋肉や関節の柔軟性がなくなって首凝りが起きるようになります。
首凝りは、男性よりも女性に起こりやすい傾向があります。
そして、首凝りを起こしやすい年代は、子育てや仕事に忙しい
30~50代が多いです。
女性が首凝りを起こしやすい原因をまとめると、次のようになります。
女性は男性より体が細く筋肉量が少ないため、少ない筋肉で 頭部を支えています。
その影響で、筋肉に負担がかかるため、 筋肉が圧縮されて凝りが起きるようになります。
女性は冷えになりやすいため、血行が悪くなりがちです。
運動不足による筋肉量の低下により、首周りの筋肉や関節 の負担が大きくなります。
筋肉や関節に必要以上に無理がかかると首懲りの原因になります。
加齢による機能低下も首凝りの原因となります。
出産や生理など、女性は体のバランスを崩しやすい体質です。体に大きな変化が
くるときにホルモンや自律神経が乱れることで 首凝りを併発することがあります。
首こりは首から肩にかけて発生し、首周辺の痛みや圧迫感、不快感などの症状を総称して言います。
首こりは、血行不良が原因で起こりますが、首は頭部と胴部をつなぐ重要な位置にあります。
頭部には脳、背中には脊髄があり、脳や脊髄は全身を動かす司令塔と連絡網のような役割を担っています。
つまり、首こりは首周辺の痛みや不快感を引き起こすだけでなく、
脳や脊髄の機能、つまり体の至るところに悪影響を及ぼす可能性があるわけです。
ここで、首こりが原因となって生じる体の異常の症状について
まとめました。
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このように首こりは、心身ともに様々な不調を併発する恐れが
あります。
首こりを放置しておくと痛みがさらにひどくなったり、
症状が慢性化することがあるため、早めの診断をお勧めしています。
自律神経は体の隅から隅まで行き渡って存在しますが、この自律神経が最も集中している部位が頚椎(けいつい)や頭蓋骨の接続部付近になります。
頚椎や頭蓋骨の接続部は、まさに首の部分に位置します。
そして自律神経は交感神経と副交感神経で構成され、体が正常に働くためには、この二つの自律神経が正常に働いていることが前提になります。
首の部分にある自律神経は、知覚神経や運動神経に指令し、
人間の活動をコントロールする重要な働きを担っています。
そのため、首の自律神経に異常が生じるようになると、体の様々な
部分に異常が起きやすくなります。
自律神経失調症で当院を訪れた方に「一番凝っている場所はどこですか?」
と伺うと「首」という返事をよく頂きます。
首の凝りを訴える人が多い理由に、自律神経が首の周辺に集中して
いることが大きな原因と言えます。
原因不明の首凝りが続く場合には、自律神経の異常を疑う
必要性が出てくるのです。。
首凝りの原因の多くは自律神経の異常にあります。
自律神経を整えるのに最も有効な手段の一つが鍼灸になりますが、首の自律神経を刺激するストレッチも多少の効果は期待できます。
鍼で直接、自律神経を刺激する方法と比べると、効果はずっと弱いですが、自宅で簡単にできる予防法として知っておいてもよ良いです。
首こりに深く関係している神経には肩甲挙筋、斜角筋、僧帽筋、頸板状筋、咬筋などがあります。これらの筋肉や神経をほぐすことで痛みや不快感が緩和するようになります。
ここでは、具体的なストレッチについては省きますが、
実は首や背筋を伸ばすストレッチには自律神経を刺激する
ものが多いのです。
ストレッチの前に患部を温めてから行うとより効果的です。
ここで注意点があります。
基本的に自分流で行うと無理な負荷がかかってしまい、
かえって身体を痛めてしまうことがあります。
専門医からアドバイスを頂いて、症状に適した
ストレッチを行うのが最も望ましいです。
「首凝りがひどく、直ぐどうにかしたい」
「首こりで夜も眠れない」
このような緊急的な症状の場合には整形外科に行って薬を処方してもらう方も多いかもしれません。それは保険が効き安価で医師が行うから安心という心理が働くからです。それで良くなる方はそのまま続けて下さい。
しかし、首凝りは体のどこかに異常があることのシグナルであり、本当の原因が首以外にあることがあります。
首以外に真の原因がある場合には、薬で痛みや
不快感が一時期緩和しても、しばらくするとほぼ再発します。
首こりが起こる度に薬の投与、首の牽引を頻繁に行うと、
首こりが生じる頻度が多くなり、逆効果になる場合があります。
首こりが慢性化している場合は、自律神経の乱れが原因である
可能性が高いです。この場合は、体のバランスが崩れていることが原因のため、
体全身のバランスを整えながら、首凝りを解消していく必要があります。
西洋医学で、首こりを完治させるためには局部のみ治療を行うため、
全身のバランスを整えるには少し難しいかもしれません。
西洋医学には「首こり」という病名は存在しません。
つまり、首こりは西洋医学において正式な病気として扱われていないので、明確な治療法はありません。
これに対し、東洋医学では首こりを「体のバランスが崩れた異常な状態」と明確に定義しています。そして首こりの治療は、東洋医学においてははるか昔より確立されていました。
鍼灸治療においては、全身と部分の両方の治療を行います。
自律神経のバランスを整えるには脈診を行いツボを決定して
手足に鍼治療を行います。
その他、首こりに関わるツボや経絡(ツボとツボを結ぶ通)に
鍼灸を施すことで、経路や血流の流れを改善していきます。
首こりで来院される患者様は施術後に効果を実感します。
慢性的な首こりの場合には、マッサー
ジで強く揉まないことをご注意下さい。
「力強くマッサージするほど効果が大きい」という方がいますが、
首の筋肉は強く揉もうとすると、それに対抗して収縮する筋肉の力が働いて、
かえって筋肉が硬くなります。
やってもらってる時は気持ちが良くても、時間が経つと筋肉が硬くなって
血流が悪くなり、症状が悪化することがあります。
当院では、長い治療の経験から、日常生活における
首こりの改善方法についてもアドバイスをしています。
どこに行っても首こりが治らない方には、一度、鍼灸治療をすることをお勧めします。