不眠症は、頭痛と同様、自律神経失調症の代表的な症状の一つです。 厚生労働省の調べでは、日本人の10人に1人が不眠症と言われています。
不眠症の最大の原因の一つが、自律神経の乱れです。
この不眠症の状態が、一時的なものでなく、長期に渡って続くようになると、自律神経失調症の可能性も高くなってきます。
ところで不眠症の日本人が、10人に1人いるということは、自律神経失調症の予備軍が相当数いるということになります。
不眠症に悩む方は、高度成長社会が進むにつれ、
年々増加しています。先ほど、10人に1人が不眠で
悩んでいると説明しましたが、それは10年前の話で、今現在は
5人に1人と主張する方もいます。
不眠の発症割合は、子供や学生の世代で少なく、社会人になる
20代前半から増え始め、年齢を重ねるごとに増えていきます。
さらに男性よりも女性に多い傾向にあります。
近年、子供や青年世代の不眠の割合も増えています。
将来の不安から受験勉強で学校と塾の両方に通う子供や、就職できたとしても
低賃金や長時間労働の問題から、よりストレスが身近に感じやすく
なったのも原因の一つではないかと思われます。
不眠症は一つの症状だけではなく、いくつかのタイプがあります。
自分がどのタイプに分類するかによって、施術方法が
異なります。
そのため、不眠症を克服するためには、どのタイプの不眠症なのかを
把握しておく必要があります。

不眠症のタイプの中で最も多く、原因も様々です。
寝つきが悪いため、布団に入ってもなかなか寝付くことができません。
入眠までに30~1時間以上かかるケースを入眠障害と呼んでいます。
入眠に1時間以上かかっても、心身に負担を感じることはなく、
日常生活に支障がない場合は、入眠障害の条件から外れます。
本人が入眠の悪さに苦痛を感じているかがポイントになります。
夜中に何らかの理由で何度も目が覚めてしまう症状をいいます。
睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を一定のリズムで繰り返します。
レムは眠りが浅く、ノンレムは深く寝入っている状態です。
中途覚醒とは、このレム睡眠の時にノンレム睡眠に移行せず、そのまま
目が覚めてしまうことを言います。
入眠障害と同様、多い症状です。
希望する時間よりも早く目覚めてしまう症状を言います。
高齢世代になるほど多い傾向にあります。
年配の人が毎日、朝5時に起きるというのは早期覚醒とは言いません。
3時に目が覚めてトイレに行き、その後、朝までぐっすり眠れたという
ケースも早期覚醒とは異なります。
あくまで目安ですが、下記の症状が週2回以上起きる場合は、早期覚醒の
疑いがあります。
〇希望する時間よりも2時間以上早く目覚めてしまう
〇目覚めた後は、眠りにつくことができない
睡眠時間はたっぷりとっているけど、疲れがとれず。
眠った感じがしない状態をいいます。
熟眠障害は、すっきりとした状態で目覚めることができないため、
日々体がだるく、日中の仕事にも記憶力や集中力の低下などの支障を
起こしやすくなります。
一言でいえば「寝た気がしない」という状態です。
脳内では、先ほど説明したノンレム睡眠が浅いために
熟眠障害が起きると言われています。
不眠症は、自律神経の乱れから生じます。
不眠症対策をするには、自律神経を整えることが何よりも大切になります。
そこで、自律神経を整える方法について、いくつか解説致します。
身体の神経を正常に働きかける栄養素として、ビタミンB群がありますが、
その中でも最も重要な役割を果たしているのがビタミンB12。
ビタミンB12は、神経細胞内の核酸やタンパク質、油質の合成を高め、
精神の安定、集中力や記憶力を高める役割を果たしています。
以前と比べて、「神経過敏になった」「怒りっぽくなった」などのような場合には、
このビタミンB12の摂取が不足していることが多いです。
ビタミンB12を多く含む食品は次の通りです。
| ビタミンB12が多く含まれる食品 | |
|---|---|
| しじみ 牡蠣(かき) 牛レバー 鶏レバー 納豆 卵 |
サバ あさり 豚レバー いわし チーズ のり |
忙しい方ほど、ビタミンB12をたくさん摂る必要がありますが、
忙しさのあまり、食事を簡素にしてしまいがちです。
1日1食の中に入れるだけでいいので、ビタミンB12を摂取するよう心がけましょう。
「早朝の太陽はとてもすがすがしいぃ~」
このような体験、しばらく忘れていませんか?
不思議なことに早起きの習慣がある方は、心の病に非常にかかりにくいと言われます。
近年の研究で、うつ病や自律神経失調症などの精神疾患の原因は、セロトニンと呼ばれる脳内伝達物質の働きが大変弱いことがわかってきました。
SSRIという薬がウツ症状にとても効くと言われていますが、このSSRIは、このセロトニンを活発にする働きがあります。
実は、朝の太陽の光にも、このセロトニンの働きを活発にさせる働きがあります。
毎日、早朝の太陽を浴びることは、日々心や自律神経に栄養を与えているのと同じことになります。早起きは、健康生活の第一歩です。
息を吸うときは交感神経(活動神経)が、
息をはくときは副交感神経(リラックス)が働きます。
しかし、現代は、超ストレス社会、心が常に緊張状態のままでいる方が大変多いです。
そのため、息を吐く割合よりも、息を吸う割合がとても長く、
交感神経(活動神経)が常に活発に働いているため、副交換神経の働きが弱くなっています。
意識して吐く息を長くし、副交感神経を刺激する必要があります。
そこでお勧めなのが『安眠呼吸法』です。
安眠呼吸法とは、吐く息が中心の呼吸法です。
この呼吸法をマスターすることで、ぐっすり眠れるようになります。
吐く息に重点を置いた深い呼吸をすることで、副交感神経の働きが活発になり、
血液中の酸素の量も増え、脳や身体全体への血液の循環が良くなります。
血液の流れが良くなることで、脳や身体の疲れも取れ、イライラが解消されてきます。
寝る前のテレビや携帯の利用は、交感神経を刺激し、
眠りを妨げる作用があります。
また、明るい環境も副交感神経の働きを弱めます。
寝るときは、部屋をできるだけ暗くするようにしましょう。
部屋が散らかっている場合も、心身が落ち着かなくなる
原因の一つです。部屋はできるだけきれいにしておきましょう 。
意外にも不眠症の人ほど、食事のバランスが悪かったり、
偏食を頻繁にしている場合が多いです。
寝る前に、カフェイン、過度なアルコール、刺激性の強い
食べ物などを摂取することも、不眠症の人ほど多い傾向
にあります。
アルコールは摂取しすぎるとかえって覚醒効果が生じ、
睡眠の質が下がってしまいます。
寝る前には、ここで紹介した飲食を極力控えるように しましょう。
症状が軽い場合は、内科でも治療を行うことができます。
内科での治療は、睡眠薬の処方が中心になります。
そして、症状が慢性化した場合には、心療内科か神経科での治療となります。
心療内科や神経科以外に、不眠症治療を専門とした病院やクリニックが存在しております。
不眠症で悩まれている場合には、不眠症専門の医療機関の方が無難でしょう。
ただ、専門医に通っても不眠症がなかなか改善されない人も大勢いらっしゃいます。
本サイトで解説しているように、自律神経の乱れが原因となった不眠症の治療は、西洋医学が最も苦手としている分野であるからです。
他の医療機関や薬による治療でも回復しない場合には、一度は鍼灸をお試しすることをお勧めしております。